「ページの価値の加重並べ替え」を実行して、サイト全体のコンバージョン率をアップさせる方法
Google アナリティクスには、「加重」という並べ替えの種類があります。
これは、単純な数字の並べ替えでは無く、「より意味のある並べ替え」にしてくれる機能です。ただ、この加重並べ替え、Google アナリティクスVer5(2011年リリース)になってから「ページの価値」に反映されなくなりました。ページ解析において大変有用な機能だったので、今回はひと手間かけて実行する方法をご紹介いたします。
そもそも、Googleアナリティクスの「ページの価値」は、そのページの「コンバージョン力」を示しています。具体的には、Googleアナリティクスの コンテンツ >上位のコンテンツ で表示される「ページ別訪問数 × ページの価値」が、そのページを通過して得られた「売上額」等になります。→「ページの価値」について
ところが単純に「ページの価値」で並べ替えても、訪問数が「1」しかないページにテコ入れしたところで、解析結果の恩恵はほとんど得られません。もっと意味のある並べ替え機能が必要です。
そこで登場するのが、今回ご紹介する「加重並べ替えをページの価値で実行する方法」です。
加重並べ替えをページの価値で実行する方法
どのページにテコ入れすればよいのか「加重並べ替え」を使えば、一発で「良い子」「悪い子」が見つけることができ、サイトのコンバージョン率が高まります。また、中間コンバージョンとなるコンテンツの発見や、メルマガで投稿すべきブログの過去記事などを発見することも可能です。早速、トライしてみましょう。
1)googleアナリティクス から対象となるページのデータを「すべて」ダウンロードする
コンテンツ>サイトコンテンツ>すべてのページ を表示し、
画面右下のプルダウンメニューで全てのページが表示されるように5000を選択します。
※5000行を越える場合
対象となるページ数が5000以上ある場合は、このメニューでは5000以上は選べないので 5000行を超えるデータの一括取得は、https://ga-dev-tools.appspot.com/explorer/ などを利用してください。(2014/6追記)
あとは、エクスポートしていったん完了です。
2)ダウンロードしたファイルに、加重並べ替え(weighted sort )するための値を加えます。
ダウンロードしたエクセルの「データセット1」のシートを開きます。
C列に「ページ別訪問数」、H列に「ページの価値」があるはずなので、I列に「加重並べ替え」の列を追加します。
仮にダウンロードしたデータ行が「1000行」の場合、以下の計算式を[I2]に 入力します。(1000行以上のデータの場合は、赤文字の1000をデータ行の数字に書き換えて下さい)
=((C2/MAX($C$2:$C$1000))*H2)+((1-(C2/MAX($C$2:$C$1000)))*(SUM($H$2:$H$1000)/SUM($C$2:$C$1000)))
※ 計算式の根拠については記事末の付録参照
※ 「ページの価値」がゼロになっている場合は、目標設定かeコマース設定を見直して下さい。
次に、すべての行にこの数式を反映させるために、上記で数式を入力したI2のマスの右下をダブルクリックして、全行に数式を反映させます。
ダブルクリックすると全行に式が反映され、判定のための数値が表示されます。
なお、最後の行は合計値なので削除しておきます。
あとは、加重並べ替えの列を、いったんコピーしたあと、「書式を選択して貼り付け」で「値のみ」とすれば、この列を並べ替えすることが可能です。
3)成績の良いページ、悪いページ、各々のうち着手すべきページを「並べ替え」で見つける。
「加重並べ替え値」を高い順に並べた場合の対処法
・訪問数が少なく、「ページの価値」が高いもの ← アクセス増できないか検討する。
(例:スマホなら、ハンバーガーメニューから出して固定フッタに移動。PCならグローバルナビにメニュー化する。他、広告などでアクセスを増やすなど)
※カートページなどは原則として対象外としておくこと
「加重並べ替え値」を低い順に並べた場合の対処法
・訪問数が多く「ページの価値」が低いもの ← ページの内容そのものを改変する
・訪問数が多く、直帰・離脱が低いもの ← このページからどのページへ移動しているかを「ナビゲーションサマリー」で調べ、ユーザを適切なページへ導いているかどうかを確認する。「ページの価値」が高いページや、関連性が高いページへのテキストリンクやバナーを検討する。また、リンクの文言も次のページでアクションが起こしやすいような文言にしておく。「このページに解決方法があるよ。」など。
・訪問数が少なく、直帰・離脱が多いもの ← ページ自体がユーザの期待の答えられていない。優先度は低いが、コンテンツの修正を検討する。
gridを利用してより精度の高い解析をおこなう
なお、ここでは、各リンクにGoogle アナリティクスでリンク元を識別できる「grid」などの識別子を埋め込んでいる前提で、上位のコンテンツを選択しています。このため、Google アナリティクスの コンテンツ >タイトル別のコンテンツ でも上記作業をおこなって多面的に分析することが大切です。
参考記事:gridでコンバージョンを高める方法:ページ内のどのクリックがサイトに貢献しているのかを確認したい
■付録:計算式の意味と根拠
今回、加重並べ替えに利用した処理は先ほどご紹介したとおり以下となります。
=((C2/MAX($C$2:$C$1000))*H2)+((1-(C2/MAX($C$2:$C$1000)))*(SUM($H$2:$H$1000)/SUM($C$2:$C$1000)))
「サイト全体におけるそのページの訪問数の影響度×そのページの価値」+「そのページより訪問数が多いページの影響度×平均ページ価値」とする。
となります。
数式の根拠として、googleのAvinash Kaushik氏が加重並べ替えリリース後に明かした 「End of Dumb Tables in Web analytics Tools! Hello: Weighted Sort:」という記事でのGoogleアナリティクスの加重並べ替えのアルゴリズムに関する解説を根拠としており、この情報を参考に、筆者が上記計算式をあらたに作成しました。
・本記事をGAフォーラムでご紹介いただきました:Googleアナリティクス活用の総合情報サイト[GAフォーラム]:衣袋 宏美 氏
※関連記事:GoogleAnalyticsの「加重並べ替え」は史上Best5入りの強力機能!その使い方をご紹介。