2020年1月7日

AI化したデジタル・マーケティング時代に、人権は守られるか

2020年の新春を迎えまして、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 ■AI化したデジタル・マーケティング時代に、人権は守られるか 2020年、我が国では3年に一度の「個人情報保護法の...

2020年の新春を迎えまして、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

■AI化したデジタル・マーケティング時代に、人権は守られるか

2020年、我が国では3年に一度の「個人情報保護法の改正」が実施される見込みです。今、私たちの行動は、グーグル、アマゾン、フェイスブック、といったデジタル・プラットフォームの「AI化」によって、よりクッキリと浮き彫りにされるようになりました。もはやネット上の行動だけに止まらず、肌身離さず持ち歩くスマホのGPSなどの情報も加わることで、ほとんど私生活は「まるはだか」状態です。ともすれば、こうした「行動データ」は他のサービスで登録した「個人情報」と紐付けられ、意図しない企業間でセットで売買されるなどの事件も明るみに出るようになってきました。今までグレーゾーンとして放置されてきたこうしたインターネット発の「プライバシーの侵害」行為は、ようやく明確なルールでメスが入ることになりそうです。

■改正法を追い風とするための準備運動を
一方で、インターネットを主戦場とするEC業界の目線に立った場合、こうしたデータをより適切に扱うことでユーザにより快適な生活を提供する責任があります。たとえば、ユーザが検索しなければたどり着けないという手間を省いてAIが商品を先回りして提案する、などのしくみづくりです。さらには別の角度からデジタル・マーケティング時代の生活者を守る配慮も求められるようになりつつあります。EU圏の「GDPR」で注目を浴びた「忘れられる権利」などがそのよい一例ではないでしょうか。昨年、日本とヨーロッパは双方の個人情報を保護する制度がお互い「同等」レベルだと認め合うことに成功しました。いわゆる「十分性認定」と呼ばれるもので、日本以外では、アルゼンチン、カナダ、イスラエル、ニュージーランド、スイスなどの国がEUから認定を受けています。ただし、日本の場合「十分性認定」については「補完的ルール」という追加条件が必要となっているので、今回の法改正には、クッキー(cookie)やIP、MACアドレスなどと個人情報を紐付ける行為にも焦点が向けられそうです。つまり、クッキー(cookie)を取得する行為それ単体では個人情報保護法に違反している、とはならないことが予測されますが、あらかじめクッキー(cookie)と個人情報を紐付けて利用することを意図している場合は、ユーザにその旨を理解してもらい、許諾を得た上でクッキーも個人情報として取得する必要が出てきます。具体的には「クッキー(cookie)ウォール」と呼ばれる措置です。例えば、グーグル・アナリティクスもクッキー(cookie)を取得しているので、wordpressでサイト構築されている場合は「Cookie Notice by dFactory 」をはじめとしたWordPressのプラグインなどが用意されています。

2020_miyamatsu01

図:クッキー(cookie)ウォールの例(https://www.ducati.com/jp/ja/home)
 
■お客様により気持ちよくご利用いただくために
こうした情勢の中で、我々EC業者は、収集したビッグデータからAIでトレンドを読み解くことも必要ですし、ビッグデータに埋もれた「個性」を見抜いてユーザ自身ですらまだ気づいていない「潜在的ニーズ」を読み解き、予想していなかったサービスや商品を「提案」することも今後のECに求められる利便性でしょう。2020年、日本では「ソサイエティ5.0」の取組によって、世界から周回遅れとなったAI化の挽回の機運が高まることが予想されます。そのような危うさと便利さの狭間で、我々EC業界はより繊細な「プライバシー保護」の意識を新たにしてオンラインビジネスに向き合うことが求められることになりそうです。

1011_miyamatu

得意分野/Eコマースの立ち上げ・販売拡大

1998年に公開したフリーウェアがヒット。その知見で開発した商品が大手ECコンテストで12部門受賞、3年で年商20億円に(現ライザップ)。上場と同時に保有株を売却し、ECコンサルティング会社を立ちあげ、業界No.1クライアントを多数抱える。日本イーコマース学会専務理事。

ページTOPへ