Metaは2026年10月6日(米国時間)、ニューヨークで開かれたAdvertising Weekで、Meta広告の新しいAI機能を発表しました。広告マネージャ内のAIアシスタントの強化、静止画から動画を作る機能の一般提供、既存顧客を除いて新規顧客を狙いやすくする機能などです。前日の10月5日にはTikTokも、AIで購入や問い合わせを手伝う機能を発表しています。
先に結論をお伝えします。今回の発表には、すでに使えるもの(一般提供)と、まだテスト中・年内予定のものが混ざっています。中小企業が今すぐ試す価値があるのは、「静止画から動画を作る機能」と「新規顧客の獲得キャンペーンで既存顧客を除外する機能」の2つです。どちらも、AIが作ったものや提案をそのまま使わず、人が確認してから配信することが前提になります。
本記事では、Metaの公式発表(2026年10月8日時点で確認)をもとに、発表の内容を「今使えるもの」と「これから来るもの」に分けて整理します。
発表の全体像:今使えるもの・これから来るもの
公式発表に書かれている提供状況をもとに分類すると、次のようになります。なお、発表には提供する国の記載がないため、日本のアカウントで使えるかどうかは広告マネージャで確認が必要です。
| 機能 | 何ができるか | 提供状況(公式発表の表現) |
|---|---|---|
| 静止画から動画を生成(Advantage+ クリエイティブ) | 手持ちの画像素材から広告用の動画を作る | 一般提供(generally available) |
| 顧客ライフサイクル戦略(Customer Lifecycle Strategy) | キャンペーンを「新規顧客の獲得用」と指定すると、既存顧客を除外するおすすめが出る | すべての広告主に提供 |
| Ads Creative Studio | どのクリエイティブが成果を出しているかを分析し、新しい案を作る作業スペース | より多くの広告主へ順次展開 |
| Meta AIビジネスアシスタントの強化 | 過去の会話やビジネスの状況を覚えて、広告マネージャ内で提案する | 記憶の強化は提供開始。キャンペーン作成・予算変更などを会話で行う機能、定期タスク・アラートはテスト中 |
| AIによるオーディエンス発見 | 理想の顧客を文章で説明すると、詳細ターゲット設定の候補を数秒で出す | 年内に詳細ターゲット設定で提供予定 |
| 商品画像から商品動画を生成 | カタログの商品画像を、まとめて商品動画にする | 条件を満たす広告主向けのベータ |
| 会話の中での購入 | MessengerのBusiness AgentやMeta AIとの会話の中で、そのまま購入まで完了する | Shopify等とテスト中・今秋テスト開始予定 |
すぐ試したい1:静止画から動画を作る
Metaによると、FacebookとInstagramで人々が過ごす時間の60%以上は動画です。一方で、少人数の会社にとって、広告用の動画を毎回撮影・編集するのは大きな負担です。
今回、Advantage+ クリエイティブで手持ちの静止画から動画を作る機能が一般提供になりました。また、Ads Creative Studioでは、動画の案やバリエーションを作り、冒頭(フック)の差し替え、音声や長さの調整、テキストや字幕の追加、最後の場面の変更などを編集できるようになります。
使うときは、次の点を確認してから配信してください。
- 生成された動画で、商品の色・形・サイズ感が実物と違って見えていないか(実物と異なる見せ方は、景品表示法上の問題になるおそれがあります)
- 文字や字幕の内容が正しいか、薬機法などに触れる表現が入っていないか
- 元の静止画の使用許諾(モデル写真や他社の素材など)が、動画への加工まで含んでいるか
Advantage+ クリエイティブの自動補正をどこまで任せるかは、「広告運用のAI自動化はどこまで任せる?Google・Meta・TikTokの2026年秋の変更と確認ポイント」でも解説しています。
すぐ試したい2:新規顧客の獲得で既存顧客を除外する
新しいお客様を増やすための広告が、すでに購入したことのあるお客様にばかり表示されていては、広告費の効率が下がります。これまでは、既存顧客を除外する設定を自分で組み立てる必要がありました。
今回、「顧客ライフサイクル戦略(Customer Lifecycle Strategy)」がすべての広告主に提供されました。キャンペーンを新規顧客の獲得用と指定すると、既存顧客を除外するためのおすすめが表示されます。さらに、既存顧客のグループを1つのラベル(Audience Label)でまとめて除外できるようにするテストも行われています。
除外に使う既存顧客のデータ(購入者リストやサイトの購入履歴など)は、計測やリストが正しく整っていることが前提です。顧客リストを広告に使う場合は、プライバシーポリシーで利用目的を示しているかもあわせて確認しましょう。
Meta AIビジネスアシスタントはどう変わるか
Meta AIビジネスアシスタントは、広告マネージャの中で、キャンペーンの計画・設定・改善・効果測定を手伝うAIです。Metaは、アシスタントの提案を取り入れた広告主は、取り入れなかった広告主と比べて、コンバージョン単価が同じままコンバージョン数が5%多くなる傾向があるとしています(Meta自身の集計です)。
今回の発表で加わる主な機能は次のとおりです。
- クリエイティブの分析結果を取り込む:Ads Creative Studioでわかった「効いているクリエイティブ」の情報を、アシスタントの提案に使う
- 記憶と文脈の強化:前回の会話の続きから話せるようになり、前の四半期に試したことや季節性、目標などを覚えておく。他のAIツールから戦略やブランドガイドラインを取り込む機能もテスト中
- 会話で操作する機能(テスト中):キャンペーンの計画・作成、画像や文章の生成、ターゲティングの変更、予算の変更を会話で行う。プレビュー・承認・制御の仕組みで、どこまでAIに任せるかを広告主が決められる
- 定期タスクとアラート(テスト中):成果の監視、週次のまとめ、予算確認のリマインドなどを自動で行う
予算やターゲティングを会話で変えられるようになると便利な一方で、意図しない変更が起きたときの影響も大きくなります。承認の仕組みを使い、予算の上限や除外したい相手など「人が決めること」は人が確認する運用にしておくことをおすすめします。また、外部のAIツールから広告アカウントを操作できる「Meta広告のMCPサーバー」も、広告主が設定した権限と明示的な承認を経てから配信される仕組みだと説明されています。広告アカウントに誰が・何がアクセスできるかの管理は、「Instagram・Facebookの乗っ取り対策|会社のアカウントと広告アカウントを守る設定と対処法」も参考にしてください。
年内〜今後の予定:AIでのオーディエンス発見と、会話の中での購入
- AIによるオーディエンス発見:理想の顧客を普段の言葉で説明すると、広告マネージャが関連の高いオーディエンスを数秒で提示し、必要なものだけを選べます。年内に詳細ターゲット設定で使えるようになる予定です。
- 商品画像から商品動画:カタログ広告を使っている広告主向けに、商品画像をまとめて商品動画にする機能がベータで提供されています。今秋には、広告の画像・テキスト・リンク先から商品を読み取り、同じシリーズや売れ筋の商品を組み合わせとしておすすめする機能も広げるとしています。
- 会話の中での購入:Shopifyと組んで、MessengerのMeta Business Agentでブランドの説明を聞いた後にそのまま購入できる仕組みをテストしています。今秋にはAdyen、PayPal、Shopify、Stripeと組んで、Meta AIの会話の中で購入できる仕組みのテストも始める予定です。
会話の中で商品を案内・販売する流れは、TikTokが10月5日に発表した機能とも共通しています。AIは店舗が用意した商品情報をもとに案内するため、商品ページやよくある質問を整えておくことが、今からできる準備になります。詳しくは「エージェンティックコマースとは?TikTokの新機能「Buy Direct」「Shopping Assistant」と中小ECが今から準備すること」をご覧ください。
中小企業が今週からできること
- 広告マネージャで使える機能を確認する:自社のアカウントで、静止画から動画を作る機能、顧客ライフサイクル戦略、Meta AIビジネスアシスタントが表示されるかを確認します。
- 売れている静止画から動画を1本作ってみる:反応の良い画像広告を選び、生成した動画と元の画像を同じ条件で比べます。配信前に、実物との違いや表現を必ず確認します。
- 新規獲得のキャンペーンで既存顧客を除外する:購入者リストや購入イベントの計測が正しく動いているかを確かめたうえで、除外のおすすめを設定します。
- AIの提案は「承認してから反映」を基本にする:アシスタントの提案や会話での操作は、予算・ターゲティング・表現の変更を人が確認してから反映します。
よくある質問
Q. 今回の機能は日本でも使えますか?
Metaの発表には、提供する国の記載がありません。「一般提供」「すべての広告主に提供」とされている機能でも、アカウントによって表示される時期が異なる場合があります。実際の広告マネージャで確認してください。なお、2026年10月8日時点で、この発表はMeta for Businessの日本語版ニュースには掲載されていません。
Q. AIで作った動画を広告に使っても問題ありませんか?
Metaの広告作成ツールで作られた動画を使うこと自体は問題ありません。ただし、表示内容の責任は広告主にあります。商品の見え方や表現が実物・事実と違っていないかを確認してから配信してください。Metaの生成AI機能で作成・大幅に編集した広告には、「AI情報」のラベルが表示される場合があります。
Q. 「コンバージョンが5%多い」は、どの会社でも期待できますか?
これはMetaが自社で集計した、アシスタントの提案を取り入れた広告主とそうでない広告主の比較で、平均的な傾向です。すべてのアカウントで同じ結果になるとは限りません。提案を取り入れる前後で、自社の数値を比べて判断することをおすすめします。
まとめ
- Metaは2026年10月6日、Advertising Weekで広告の新しいAI機能を発表した
- 今すぐ使えるのは、静止画から動画を作る機能(一般提供)と、新規獲得で既存顧客を除外する顧客ライフサイクル戦略(すべての広告主に提供)
- AIビジネスアシスタントは記憶が強化され、キャンペーン作成や予算変更を会話で行う機能をテスト中
- AIでのオーディエンス発見は年内、会話の中での購入はテスト段階
- どの機能も、AIが作ったものや提案は人が確認してから配信する運用にする
ISSUNでは、Meta広告の運用や、クリエイティブの改善、計測の整備を支援しています。「新しいAI機能を自社で試したい」「既存顧客の除外設定を整えたい」といったご相談は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
参考にした公式情報(2026年10月8日確認)
- Meta for Business:Advertising Week New York 2026: New AI Capabilities to Guide Campaigns and Reach Customers(2026年10月6日)
- Metaビジネスヘルプセンター:Advantage+ クリエイティブについて



