※この記事は、こちらのセミナー用に考えていたメモを編集したものです。
参加される方が食品ECの事業者さんが多いので、食品ECのお話がメインになります。

小規模事業者にとって、SNSはずっと苦しい。
多くの事業者さんにとって、SNSは非常にハードルが高い。
人手がない。
時間がない。
写真が苦手。
動画なんて作れない。
TikTokをみる若者の感覚もわからない。
それでも
「SNSをやらないと売れない」
「今は動画だ」
「リーチを伸ばせ」
と言われる。
少し調べると、SNSでバズって売上が伸びた同業が見つかる。
「うちも頑張れば売上が伸びるのになぁ」と思う。
頑張って投稿する。
でも数字は伸びない。
「これ、本当に意味があるのか?」
という疑問だけが残る。
そんなケースが沢山あります。
頑張りたい。できる限りのことはやりたい。
でも、どれだけがんばっても、SNSが伸びない。
なぜこんな悲しいことがおこるのでしょうか。
これは、頑張りが足りないとか、センスがないわけではなく、構造によるものが大きいのではないかと考えています。
まずは地方の食品SNSが伸びにくい理由について考察していこうと思います。

なぜ食品ECはSNSで売れにくいのか
食品の用途は、大きく3つ
・普段づかい用
・贅沢用
・贈り物用
に分けられるのですが ※業務用とかはまた別
普段使い用は近くのスーパーで買えるし
贅沢用、贈り物用は、ちょっと街に出れば百貨店で買える。
食品をわざわざネットで買うのって、まぁレアな行動なわけです。
もし買うとしても、楽天やYahooショップみたいな、自分がアカウントを持ってる通販モールが安心ですよね。
地方の、名前知らない、食品メーカーの独自ドメインサイトに訪れ、住所を入力し、カード情報を入れ、決済を完了してもらうことのハードルの高さたるや。
じゃあ楽天で売れるように頑張ればって話なんですけど、楽天で売れるようにするのも大変なんですよね……(この話は別の機会に)
また、最近はネットスーパーとかが充実していますが、あれは大手の配送網があってのものなので、地方のお菓子とかを作ってる事業者さんにはあまり関係ない話です。

別の角度からみると
地方で食品EC事業者さんが扱っているような
送料込みで3,000円をこえる商品はSNSで衝動買いされにくいです。
・毎日買うものではない
・味が事前にわからないので踏ん切りがつかない
・失敗したくない
・贈答ならなおさら慎重になる
・送料高くて損した気持ちになる
これだけ多くのハードルがある。
つまり食品ECは、そもそもSNSで見かけても
「買いたい」と思ってもらえるまでのハードルが高いのです。
「買いたいと思わない商品」=「自分には関係ない商品」です。
人は、自分と関係のないものには興味は持てません。
自分と関係のない、知らない県の、知らない山の奥で売ってる栗のお菓子は、「近所の人」か相当な「栗好き」しか興味を持たれないわけです。
SNSでは、興味がもたれないものは容赦なくスキップされてしまうため、
アルゴリズム上、どれだけがんばって自分の商品を紹介しても、
「ダメな投稿」として扱われてしまいます。

それなのに、
・バズらせようとする
・トレンド動画を真似する
・リーチ数を追いかける
そもそも難しいことをしているのに、結果を追い求めてしまうんですね。
この時点で、消耗する未来はほぼ決まっている。

でも、やらざるをえない
ここまでの話から、
「うちの業種はSNSと相性が悪いんだ」
「じゃあやめとこうか」
とはいかないのが苦しいところです。
なにせ売上をあげないといけない。
広告費など、販促にかけられる予算が限られている中では、
投稿一つで〇万人にリーチできるSNSはまぁ魅力的なわけです。
SNSを使わずに、ネット通販の売上を伸ばす方法は限られてる。
そのため、地方の食品事業者さんは
ここまで語ってきた大変さを肌で感じながら、
勝ち目の薄い無理ゲーに挑まなければいけない。
では、この無理ゲーをどう攻略するのか。

まずは正攻法の話
今、SNSでリーチを伸ばし、フォロワーを獲得するためには大きく分けて2パターンだと言われています。
- 面白い
- 役に立つ
エンタメ寄りで楽しく見られるか、
見ていて役に立つ知識が得られるか、
そのどちらかがないとSNSのユーザーはすぐに離れてしまいます。
この2つのどちらかができれば、後は
「最初の3秒で離脱されないためにインパクトのある出だしを」
「飽きられないように1.5秒でシーンを切り替えて~」
「流行りの音源を使うと、おすすめに表示されやすくなるので~」
みたいな小手先のテクが上手くなればある程度は伸びるようになります。
ただ、ここには落とし穴があって、
「面白い」
にはセンスと振り切り、あと面白いと思って投稿した動画がスベることを許容する「覚悟」みたいなものが必要になります。
「今から面白いことやって~」って言われて、できる人がこの世に何人いるかって話です。
「いや、SNSでバズってる投稿は必ずしも面白くないじゃん」という反論もあると思うのですが、そういう場合は強制的に見てしまう、続きが気になるような設計になっている「アルゴリズムハック」的なノウハウが使われていたりするので、付け焼刃の知識で実行するのはやはり難しい。

「役に立つ」
こちらの方が投稿としては作りやすそうですが、
ここには一つ罠があります。
「役に立つ」投稿を喜ぶ人が、そのままお客さんになるかというと、話は別なのです。
例えば、地方のパティシエさんが、
「美味しいロールケーキの作り方」というお役立ち動画を投稿したとして、
見る人は
「ロールケーキを作りたい人」であり
「通販でロールケーキを買いたい人」ではないわけです。
もちろん、顔出しでお役立ち投稿を発信することにより、親しみを持ってもらったり、
「こんな美味しいロールケーキを作れる人なら、商品に間違いはないだろう」
と思ってもらった上で通販に繋げるという方法もありますが、
結局のところ「売上」という目線では遠回りになってしまうため
「レシピ動画が何万回再生されても売上は0円」
という残念な事態が起こります。
もしお役立ち投稿を出すのであれば、
そこから売上に繋げていくための「SNSアカウント設計」がないと、
やはり消耗してしまいます。

「面白い」「役に立つ」それぞれの投稿を正攻法で頑張るだけでは、
売上に繋げることは難しいんですね。
「待ちSNS」という考え方
ここで提案したい、地方の食品ECに向いているSNSの形を
ここでは「待ちSNS」と呼ぶことにします。
待ちSNSとは、
・毎日投稿など無理をしない
・バズらせにいかない
・フォロワーを増やしにいかない
代わりに、
探している人が来たときに、
不安を消す場所として存在するSNSアカウント
のことです。
栗のお菓子なら、栗のお菓子を探している人が
珍しいジビエを探してる人なら、ジビエ好きが
農薬を使わないこだわりのお野菜なら、それを探している人が、
何か新しいものを探している人が、
SNSアカウントにたどり着いたときに、
・購入したくなる
そして、
・購入をためらう要素を排除する
そんな情報が分かりやすく並べられているSNSアカウントを目指す。
それが「待ちSNS」です。

食品ECの購買行動は、ほぼこの順番で起きる
- どこかで名前を知る(PR・口コミ・広告)
- 検索する
- 公式サイトを見る
- SNSを見る
- 「大丈夫そうだ」と思えたら買う
最近は「3.公式サイトを見る」がスキップされ、SNSアカウントだけが見られるケースも増えていますが、基本的な考え方は一緒で
SNSの役割は
4→5 のお客さんに「大丈夫そうだ」と思ってもらえることにまず特化してもらうのが効率が良いです。
SNS単体で売ろうとしなくていい。
検索やPRの成果を逃さないための装置になればいいという考え方です。

人は味ではなく、情報を食べている
ここで一つ、前提を置きましょう。
人は、味ではなく、情報を食べている。
ネットで食品を買うとき、
その人はまだ味を知らないわけです。
事前に知ることができるのは、
・どこで作られているか
・どんな商品があるか
・ちゃんと届くのか
・他の人も選んでいるのか
つまり、
口に入る前の情報だけで意思決定している。
だから食品ECのSNSでやるべきことは、
「美味しいですよ!」を叫ぶことではなくて、
このアカウントを信じてみようと
お客さんが思えるだけの情報を、
静かに積み上げることだけです。

Instagramのアカウントなら、気を付けるのは3つだけ
①プロフィール写真
②アカウント説明文
③固定投稿

① プロフィール写真は「一瞬で“誰か”が分かるか」
役割
→ 投稿を見る前に
「この人(この店)、ちゃんとしてそうか?」を0.5秒で判断される場所。
OKの原則
- 人 or 商品がハッキリ写っている
- 小さく表示されても判別できる
- 背景がごちゃごちゃしていない
おすすめパターン
- 生産者・店主の腰から上のアップ(自然光・笑顔)
- 主力商品の単体ドン(余白多め)
- ロゴの場合は文字を捨ててマークだけ
NG例
- 集合写真(誰?)
- 風景写真(観光アカウントに見える)
- 文字だらけのロゴ(読めない)
■ ポイント
「この人から買う」「この店をフォローする」理由が顔、商品、ロゴですぐに伝わるか

② アカウント説明文は「このアカウントを今から見る価値があるか?」に答える
役割
→ プロフを開いた人が
アカウントを引き続きみる or 離脱を決める最重要ゾーン
基本構造
①何を扱っているアカウントか
②誰の・どんな悩みや用途に向いているか
③他と何が違うか
良い例(食品EC)
高知・四万十の栗とおやつ🌰
1848年創業「四万十栗庵」公式アカウント
贈り物に喜ばれるモンブラン
累計販売1,000個の栗おかきを販売
▼公式オンラインストアはこちらから
ダメになりがち
- 想いだけ(「自然を大切に…」)
- 抽象語多め(こだわり・想い・厳選)
- 誰向けか分からない
■ポイント
「このアカウントをフォローすると、どんな情報が手に入るか」
が明確かどうか。

③ 固定投稿は「初見の人向けの“取扱説明書”」
役割
→ 投稿を3つ見た瞬間に
「なるほど、こういうアカウントね」と理解させる。
おすすめ固定3本構成
- 初めての人にオススメの商品
→目上の方向けの贈り物にはこちら
→カジュアルな贈り物にはこちら など商品ラインナップを知らなくても選びやすいようにする - 人気商品 or 定番商品
- 自己紹介・ブランド紹介
例(地方食品)
- ①今の時期はこれがオススメです
- ②人気・定番商品はこちら!
- ③私たちのこだわり
重要ポイント
- 固定投稿はバズ狙いではなく、お客さんが選びやすいように
- 保存・シェアされなくてOK
- 理解されることが目的
固定投稿は
フォロワー向けじゃなく、初見専用
まずはここまで整えることができれば、
「このアカウント見る価値なさそう」という離脱を最低限防ぐことができます。

普段の投稿はどうすればよいか
ここまでのやり方で、アカウントの情報は整いました。
その上で、普段の投稿はどうすればよいかという疑問が生まれると思います。
普段の投稿の役割は1つだけで、
「固定投稿を見てくれた人に向けて、“判断材料”を増やすこと」
これだけはできればOKです。
バズらせる
毎日伸ばす
アルゴリズムを攻略する
は一旦脇に置いておきましょう。
下記のような投稿を、無理しない範囲で投稿すれば

普段の投稿は3種類だけでいい
① 商品・サービスの“周辺情報”
目的
→ 「買う理由」をじわっと増やす
例(食品)
- 原材料の話
- 作り方の一部
- 購入後の保存方法
- 季節との関係
- 新商品をこうしようと思っている、などのプロセスの情報
ポイント
- 売らない
- 説明しすぎない
- 「へぇ」で終わってOK
読み終わったあとに
「覚えておこうかな」くらいがちょうどいい温度感です。

② 作り手・中の人の気配
目的: 「ちゃんと人がやってる」安心感
例
- 今日の作業風景
- 失敗談
- 天気・畑・仕込み
- 小さな気づき
ポイント
- 映えなくてOK
- 日記レベルでOK
地方・小規模ほど、ここは武器になります。
「知らない人が作っている」ではなく、
「こんな人が作っているんだな」という雰囲気を伝えるようにしましょう

③ お客様の声
目的:買われている感を出し、不安を減らす
例
- 「こんな声が届きました」
- 「こんな質問がありました」
- 「お喜びの声をもらいました」
ポイント
- 売り込みに見せない
- 体験ベースで話す
- 正解を押し付けない
評価を“主張”するのではなく、
そっと置いておくくらいが一番効きます。
「行列ができる店」って売れてそうですよね。
インターネット上では行列を作るのは難しいので、「お客さんが常に居る感」をSNSの投稿で出すことが大事です。

まとめ
普段の投稿で大事なのは、この3つだけです。
- 売り込みすぎない
- 無理しすぎない
- 役割を欲張らない
普段の投稿は、
未来のお客さんがあとから見返す「判断材料」。
だから、
派手じゃなくていいし、
毎日じゃなくていい。
静かに、でも確実に
「このアカウント、ちゃんとしてそうだな」
を積み上げていきましょう。
「SNSを伸ばせない言い訳じゃないの?」という批判について
ここまで読んで、
こう思った人もいると思います。
バズ狙いSNSで成功している事例もある
それをやればいいのでは?
その通り。
否定はしません。
ただし、
バズ狙いの攻めのSNSを成立させるには、
・企画力
・センス
・動画制作力
・人手
・外注コスト(依頼するなら)
・試行回数
・そして運
が必要です。

それができるなら、苦労しないって
と思う方が今回の「待ちSNS」の対象です。
この記事で書いているのは、
一発逆転の勝ち筋ではなくて
消耗しない
壊れない
再現できる
負けない筋です。

逃げではなく、選択。
この「待ちSNS」は、
・成長を否定していない
・攻めを否定していない
ただ、
できない前提で、
それでも成立する戦略を選ぶということです。
地方の食品ECに足りないのは、
能力ではなく余力です。
夢を見る前に、
まず倒れないこと。
そのためのSNS設計をご提案します。

まとめ
地方の食品ECに必要なのは、
・バズるSNS
・映える動画
・攻め続ける運用
ではありません。
味を信じてもらうための情報を、
静かに、継続して置いておくこと。
人は味ではなく、情報を食べている。
だからSNSは、
「美味しそう」を叫ぶ場所じゃなく、
「大丈夫そう」を積み上げる場所でいい。
派手じゃなくていい。
上手くなくていい。
止まらなければいい。
それが、
地方の食品ECが一番長く勝てるSNSだと確信しています。
それでも、コストをかけて集客したいなら
それでも、
・労力をかけてもいい、むしろ全力でSNSをやって集客したい
・SNSの運用は最低限にして、広告など別の集客手段を考えたい
・そもそも何をやればいいか分からない、誰かに一度みてほしい
など、お悩みがありましたら、ぜひ弊社にご相談くださいね。
上記のように、人手が足りない事業者さんの気持ちに寄り添うメンバーが売上が伸ばせるように伴走いたします。
(最後に宣伝)
読んでいただきありがとうございました!







