Google Adwords リマーケティング広告のはじめ方(基礎編)

「一度みたらずっと追いかけてくる広告」だけでは、もったいない
PPC広告では非常に有効な「Google Adwords リマーケティング広告」。いちど、特定の広告をクリックしたユーザには、他の広告よりも優先されて、「再度、自社の広告が表示される」というしくみです。これは、通常のコンテンツターゲティングや検索連動広告よりも、コンバージョン率も高く、CPAも大きく改善できるなどのメリットがあります。ただ、見た目は、「1度、広告を見たら、そのあとずっと広告が追い掛けてくる」といったイメージが強いようですが、リマーケティング広告は、なにもただ単に、何度も繰り返し広告を表示させることだけが目的ではありません。
こんな風に使うと、リマーケティング広告って効果的!
9割以上のユーザは初回の訪問では購入(コンバージョン)しません。最初からリマーケティング広告が見られる前提で、「最初の広告」→「ランディングページ」→「リマーケティング広告」→「専用ランディングページ」→「コンバージョン」 の シナリオ作りと段取りをしておきましょう。例えば、こんな注意ポイントがあります。
- リマーケティング広告(画像広告が効果が高い)を見た段階では、他社との区別化がしっかりできているように、初回のランディングページで工夫しておく。
- コンテンツターゲティングの露出を高めておく。
- 広告→カートまで入れてくれたのに、コンバージョンしてくれなかった、限り無くコンバージョンに近いユーザには、特に重点的に、特別なリマーケティング広告内容で「再広告」する
- コンバージョンしたユーザには、友達紹介クーポン・体験談キャンペーン・購入商品の無料サポートセミナーなど、購入以外の広告パターンも試みる。
- 安価なエントリー商品など、特定期間のキャンペーンページを見てコンバージョンしたユーザには、一定日数後に、メールマガジンの配信とあわせて次の本体商品を提案する。
- Aという商品カテゴリを見てBという商品カテゴリを見ずにコンバージョンしたユーザは、Aを購入している確率が高いのでBを重点的に見せたり、想定できる組み合わせパック・特別キャンペーンなどの提案型ページへ再広告する
■手順1:ユーザのリストを作成する
a)ランディングページを見た人のリストを作る
b)サンクスページ(購入完了)を見た人のリストを作る
■手順2:作成したリストから、誰に見せるかを設定する(組み合わせによるユーザ層を作る:簡単な例)
・手順1の a) からb)を引いたユーザ層 →つまり、a)の広告ページを見て、かつ、コンバージョンしていない人
・手順1の a) と b)を足したユーザ層 →つまり、a)の広告ページを見て、かつ、コンバージョンした人
■手順3:広告グループを作成して、ターゲットユーザに、手順2で作成したいずれかの「組み合わせ」を選択する
という流れです。では実際に作業してみましょう。
「Google Adwords リマーケティング広告の作り方:具体的な手順」
■手順1:ユーザに印を付ける(リマーケティングリストを作る)
a)ランディングページを見た人に印をつける
まず、Adwordsの画面から、キャンペーン>コントロールパネルとライブラリ を選択します。

次にターゲットユーザ を選択して、新しいユーザ層>リマーケティングリスト をクリックします。

適当な名前、説明、表示期間(30日のままでもよい)、「新しいリマーケティング タグの作成」を選択して、「保存」します。ここでは「猫ページ」というページを広告のランディングページとして作成しています。

タグ/ルール の列に、先ほどつけた名前で、リンクができているので、これをクリックします。
すると下記の画面が表示されます。このソースコードを広告のランディングページに貼り付けるのですが、今から貼り付けようとしているページのURLが、http:// から始まるのか、https:// から始まるのかを確認して、「ページのセキュリティレベル」を選択しておきます。通常はhttp です。このソースコードは、<body>内に貼り付ければOKです。
次に、b)サンクスページ(購入完了)を見た人に印をつける設定を行います。ターゲットユーザ を選択して、新しいユーザ層>リマーケティングリスト をクリックします。

適当な名前を付けて、必要なら説明を記述して、次に、「既存のタグから選択」を選びます。
すると、既にadwordsで設定しているコンバージョンタグを貼ってあるページが並びます。
下図のように、この中から今回の b)サンクスページを見た人に印 をつけたいコンバージョンタグを選び、追加 を押します。
すると、右の欄に移動します。このほかにも必要なコンバージョンページがあるなら追加しておきます。
追加が完了したら、保存を押します。

これで、リストが2つ作成できました。
■手順2:誰に見せるかを設定する(組み合わせによるユーザ層を作る)
ここでは、
・手順1の a)ランディングページを見た人 からb)コンバージョンした人 を「引いた」ユーザ層、つまり、広告を見てランディングページも見たけれど、まだ、コンバージョンしていない人
というユーザ層のリストを追加してみます。
ターゲットユーザ から 新しいユーザ層 > カスタムの組み合わせ を選択します。

新しいカスタムの組み合わせの作成 という画面が表示されたら、適当な名前を付けて(ここでは、「TOP:見積もり完了除く」とした)、次に、「含まれるユーザーまたは関心のあるユーザー」 から 「ユーザ層を選択」 のプルダウンメニューで、「リマーケティングリスト」 を選択します。表示された画面上で、先ほど作成したリマーケティングリストの中から、a) からb)を引く作業のうち、a)にあたる、広告のランディングページを「追加」します。(ここでは「猫ページ」を「追加」した。)ここまで完了したらOKボタンを押します。
次に、引き算をするための条件を追加します。「追加」を押します。
次に、引き算をさせるために、ユーザ層以外 を選択します。
b)にあたる、先ほど設定した、コンバージョン完了(ここでは「見積もり完了」)のリマーケティングリストを追加します。
完了したらOK
以上が、完了したら保存します。
■手順3:広告グループを作成して、ターゲットユーザに、手順2で作成したいずれかの「組み合わせ」を選択する
キャンペーンを作成したら次へ進みます。
次に、ターゲットユーザのタブをクリックします。
ユーザー層を追加 > カスタムの組み合わせ > で、先ほど手順2で作成した 組み合わせを選択すれば、準備完了です。
最低、500以上のユーザがこのタグを通過すると、リマーケティング広告がスタートします。
ここがポイント:リスト作成のコツ
手順2で行った 「カスタムの組み合わせ」には2つのポイントがあります。これらを使いこなせるようになると、様々なパターンで広告を表示させることが可能になります。
まず1つめは、「新しいカスタムの組み合わせの作成」で表示される「含まれるユーザーまたは関心のあるユーザー」のプルダウンメニューで表示される「これらのユーザ層すべて」「これらのユーザ層から1つ以上」「これらのユーザ層以外」のそれぞれの意味を押さえることです。
- これらのユーザー層すべて(=AND 条件:論理積)
- これらのユーザー層から 1 つ以上(=OR 条件:論理和)
- これらのユーザー層以外(=NOT 条件:否定)
となります。 Google Adwordsのリマーケティング広告のヘルプには、この条件(AND/OR/NOT)の説明がありますが、ANDが明示的に「論理積」を示しているのか不安になるやや曖昧な説明です。実際にやってみると、以下の通りで解釈してよいことがわかります。
つまり、AND 条件:論理積(A AND B :ABいずれも含む)、OR条件:論理和(A OR B :ABのいずれかを含む)、NOT条件:否定(A NOT B : Aを否定:Aを含むものから Bを含むものを除く)であることが分かります。
例えば、「広告を経由して、コンバージョンしたユーザのみ」に表示させたい場合は、手順2で、下図のように「このユーザ層すべて」として、広告で着地するランディングページ(ここでは「猫ページ」)と、コンバージョンページ(ここでは「見積もり完了」)を選択すれば、「猫ページを見た人 AND 見積もり完了を見た人」の論理積 となり、「猫ページも見積もり完了も両方見た人=広告を経由して、コンバージョンしたユーザのみ」に表示させることができるようになります。
2つめのポイントは、「および」も「AND」であるということです。
ですから、上記の 「広告を経由して、コンバージョンしたユーザのみ」というリストは下記のような方法でも、同じ効果が得られる、ということになります。
より高い成果をあげるための「組み合わせの例」
上記の条件を組みあわせれば、「猫とライオンのページの両方ともを見ていて、かつ、カートに何かを入れたか、お問い合わせページをまで見たけれど、結局、購入完了もお問い合わせ完了もしてくれなかったユーザ」という、猫とライオンの両方ともに興味があって、限り無くコンバージョンに近いユーザだけに「猫とライオンのセット大好きさん集合!」という、ユーザが探しているであろう組み合わせのキャンペーンを作成して、広告を見てもらうことも可能です。
※上図の様に「これらのユーザー層以外(=NOT 条件:否定)」内に複数の条件を入れると、NOT (A or B or C or …) となる。
ただ繰り返し表示するだけの「ウザイ」広告から、「お、待ってました!」と思われる広告へ。
さらに、Google Adwords リマーケティング広告を成功させるために大切なことは、「やみくもに繰り返し表示させても逆効果」であることを知ることです。まず、初回広告の段階で、ほとんどのユーザは離脱し、リマーケティング広告でユーザが再訪問することを想定して、キャッチコピーやページの作成などを行っておくことが大切です。初回の広告→ランディングページ→2回目広告(リマーケティング)→コンバージョンこの流れで「あぁ、あのとき見たあのサイトだな」と思い出してもらえるように、キャッチコピーなどを統一して仕掛けておくことが重要です。
また、コンバージョン完了したユーザには、継続してもらうためのサービスやメリットを提案するようにしてみましょう。
さらに、リマーケティングになれてきたら、今度は、単に一回目に購入してもらえなかったユーザに、再度購入してもらうチャンスを提供するという目的だけでなく、一回目に買ってもらえなかったユーザにも、一回では伝わりにくいお店の思いや、購入のあとの「喜びの深さ」を知ってもらう工夫で、購入につなげる、といった取り組みも、リマーケティング広告なら可能です。
ユーザへの配慮が最重要課題
ただし、一方的な企業の都合を押しつけていてはこうした広告もまたいずれ廃れてしまうでしょう。見てもらってユーザの体験が豊かになるような、適切な内容と運用が最も大切なポイントだと思います。
# 本記事は2010/08/05 に作成した内容を、編集し再投稿したものです。相違ありましたらご指摘下さい。