Google広告におけるAI活用は、入札や配信の自動化だけでなく、検索意図の理解、広告文の生成、ランディングページの選択、広告フォーマットの出し分け、さらにはクリエイター活用にまで広がっています。
特に注目すべきなのは、ユーザーの検索行動が変化している点です。
現在のユーザーは「くつろぐのに最適な高品質の服は?」「旅行先で泊まりやすいホテルは?」といったように、目的やシーン、悩みを含めた自然な文章で検索するようになっています。
こうした変化に対応するため、Googleはショッピング広告や旅行広告、YouTube広告におけるAI活用をさらに拡張しています。
本記事では、Googleが発表した以下の3つのトピックについて、広告主が押さえておきたいポイントを整理します。
3つの発表の概要
| トピック | 何ができる機能か | 主な対象 | 広告運用で変わること |
|---|---|---|---|
| AI Max for Shopping | Merchant Centerのフィード情報を活用し、ユーザーの検索意図に合わせて広告文・遷移先・広告フォーマットを最適化する機能 | すでにショッピングキャンペーンを利用している小売事業者 | 商品名だけでなく、「用途」「悩み」「シーン」に基づく検索にも対応しやすくなる |
| 旅行向け検索キャンペーン | 旅行関連のフィードや広告フォーマットを、標準の検索キャンペーン内で管理できる仕組み | ホテル、航空券、旅行予約サイトなどの旅行関連広告主 | 分散していた旅行広告の管理・入札・レポートを一元化しやすくなる |
| YouTube Creator Partnerships | YouTubeクリエイターの発見、クリエイター主導の広告配信、管理をGoogle広告やDisplay & Video 360上で行える機能 | YouTube広告や動画広告でクリエイター活用を検討している広告主 | クリエイターコンテンツをパフォーマンス広告の中で活用・検証しやすくなる |
AI Max for Shoppingとは
AI Max for Shoppingは、すでにショッピングキャンペーンを利用している小売事業者向けの新しい機能です。
Merchant Centerのフィード情報を活用し、商品の素材、フィット感、耐久性、特徴などをもとに商品コンテキストを理解します。そのうえで、ユーザーの検索意図に合わせた広告文の生成や、適切なランディングページの選択、広告フォーマットの出し分けを行います。
たとえば、ユーザーが「在宅勤務でも着やすい服」「長時間歩いても疲れにくい靴」といったニーズ起点の検索をした場合でも、AIが商品情報をもとに文脈を理解し、より適切な広告表示につなげることが期待できます。
AI Max for Shoppingの主な機能
AI Max for Shoppingには、主に以下のような機能があります。
| 機能 | 概要 | 広告主にとってのメリット |
|---|---|---|
| テキストのカスタマイズ | 商品フィードの情報をもとに、ユーザーの検索意図に合った広告文を生成 | 会話型検索やニーズ起点の検索に対して、より自然な訴求ができる |
| 最終URL展開(FUE) | ユーザーの検索意図に合わせて、サイト内で最も関連性の高いランディングページを自動選択 | 商品詳細ページだけでなく、カテゴリページや特集ページなどへ柔軟に誘導できる |
| 最適なフォーマットの選択 | 検索意図に応じて、テキスト広告またはショッピング広告を自動選択 | ユーザーにとって最も適した広告形式で接点を持てる |
| ワンクリックアップグレード | 既存のショッピングキャンペーンからAI Maxへアップグレード可能 | 既存のターゲティングや入札設定を活かしながら導入しやすい |
これまでのショッピング広告は、商品名、価格、画像などを中心に訴求する形式が一般的でした。一方で、AI Max for Shoppingでは、検索語句そのものだけでなく、ユーザーの意図や文脈に合わせた広告表示が可能になります。
つまり、AI Max for Shoppingは単なる自動化機能ではなく、ショッピング広告を「会話型の検索」や「ニーズ起点の検索」に対応させるための機能といえます。
AI Max for ShoppingとPerformance Maxの違い
AI Max for Shoppingの発表により、既存のPerformance Maxとの使い分けが気になる方も多いのではないでしょうか。
Googleによると、クロスチャネルでの成果最大化を目的とする場合は、引き続きPerformance Maxが適した選択肢とされています。一方、既存のショッピングキャンペーンを活かしながら、検索面での対応力を高めたい場合は、AI Max for Shoppingが有効です。
| 項目 | AI Max for Shopping | Performance Max |
|---|---|---|
| 主な目的 | ショッピングキャンペーンを最新の検索行動に対応させる | Googleの複数チャネルを横断して成果最大化を狙う |
| 主な配信領域 | 検索面を中心としたショッピング広告・テキスト広告 | 検索、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmail、マップなど |
| 向いている広告主 | 既存のショッピングキャンペーンを活かしながら、検索対応力を高めたい小売事業者 | 複数チャネルで購入・問い合わせなどのコンバージョン最大化を狙いたい広告主 |
| 特徴 | 商品フィードを活用し、検索意図に応じた広告文や遷移先を最適化 | 入札、配信面、クリエイティブ、オーディエンスを横断的に最適化 |
| 運用上のポイント | 商品フィードやランディングページの整備が重要 | アセット、データ、コンバージョン設計の精度が重要 |
ショッピング広告を中心に運用している場合は、AI Max for Shoppingを活用することで、既存の設定を活かしながら検索対応力を高められます。
一方で、検索広告だけでなく、YouTubeやディスプレイ広告など複数の配信面を横断して成果最大化を目指す場合は、Performance Maxの活用が引き続き重要になります。
旅行向け検索キャンペーンとは
旅行領域でも、Google広告の管理方法に変化が出ています。
Googleは、旅行関連のフィードやフォーマットを標準の検索キャンペーンに統合する「旅行向け検索キャンペーン」を発表しました。
これにより、旅行広告主は、AI Max for Search Campaigns、入札、レポートなどの機能をひとつの管理画面で扱えるようになります。従来のように複数のキャンペーンタイプを分けて管理するのではなく、旅行関連の広告フォーマットを一元的に管理できる点が特徴です。
旅行業界では、価格、空室状況、日程、目的地、季節性など、広告成果に影響する要素が多く存在します。そのため、フィード情報と広告配信をリアルタイムに連携させる仕組みは、非常に重要です。
参照記事 AI Max for Travel|Google Blog
旅行向け検索キャンペーンの主なメリット
| メリット | 内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 単一の購入窓口 | 複数の旅行関連キャンペーンやフォーマットを、検索キャンペーン内で一元管理 | 運用フローを簡素化し、管理の手間を削減 |
| リアルタイム機能強化 | 旅行フィードをテキスト広告に活用したり、キーワードを旅行フォーマットに活用したりできる | 価格、空室、日程、目的地などの変動に合わせた広告配信がしやすくなる |
| AI Max機能との 連携 | 自動クリエイティブや動的ランディングページなどと組み合わせ可能 | ユーザーの検索意図に合わせた広告表示・遷移先選択が期待できる |
| 統合レポート | 検索語句レポートなど、複数レベルのデータを統合して確認可能 | 成果の把握と改善施策の検討がしやすくなる |
旅行広告では、ユーザーの検索意図が「比較」「検討」「予約」「直前需要」など、さまざまな段階に分かれます。
たとえば、「東京 ホテル 安い」「家族旅行 おすすめ 宿」「週末 空いているホテル」など、検索語句ごとにユーザーの目的や検討段階は異なります。
旅行向け検索キャンペーンでは、こうした検索意図に対して、フィード情報やキーワード、AI Maxの機能を組み合わせながら、より適切な広告配信につなげることができます。
YouTube Creator Partnershipsとは
今回の発表では、クリエイターを活用したマーケティングについても注目すべき動きがありました。
Google広告とDisplay & Video 360でYouTube Creator Partnershipsが利用可能になったことで、広告主はクリエイターの発見、クリエイター主導の広告の有効化、管理を行いやすくなります。
これまでクリエイターマーケティングは、大規模な予算や個別のキャスティング、制作進行が必要な施策という印象を持たれがちでした。しかし、Googleはクリエイターとのパートナーシップをより身近で効果的なものにするため、広告プロダクトとの連携を強化しています。
参照記事 Ads Decoded Podcast: Creator Marketing|Google Blog
| クリエイター活用のポイント | 内容 |
|---|---|
| 自然な訴求がしやすい | クリエイターの言葉や表現を通じて、広告感を抑えた訴求ができる |
| 商品理解を深めやすい | 実際の使用感や体験を通じて、商品の魅力を伝えやすい |
| 動画広告との相性がよい | YouTube上での視聴体験に合わせた広告展開がしやすい |
| パフォーマンス広告に組み込みやすくなる | Google広告やDisplay & Video 360上で管理できるため、効果検証しやすい |
クリエイターマーケティングは、単なる話題づくりではなく、パフォーマンス広告の成果改善にも関わる施策になりつつあります。
今後は、どのクリエイター、どの訴求、どの動画フォーマットが成果につながるのかを検証し、広告運用の改善サイクルに組み込むことが重要になります。
広告主が今から準備すべきこと
今回の発表から見えてくるのは、Google広告の運用が「キーワードや入札を細かく調整する作業」から、「AIが正しく判断できる情報を整える作業」へ移行しているということです。
AIに任せる領域が増えるほど、広告主側が整える情報の質が重要になります。
| 準備すべきこと | 具体的な内容 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 商品フィード・旅行フィードの整備 | 商品名、説明文、カテゴリ、素材、サイズ、価格、在庫、画像などを正確に登録する | AIが商品やサービスの文脈を正しく理解するため |
| ランディングページの改善 | 商品詳細ページ、カテゴリページ、比較ページ、用途別ページ、特集ページなどを整備する | AIが検索意図に合った遷移先を選びやすくなるため |
| ブランドメッセージの整理 | 訴求したい価値、避けたい表現、トーン&マナーを明確にする | AI活用時にもブランドの一貫性を保つため |
| クリエイティブの検証体制づくり | 画像、動画、クリエイターコンテンツごとの成果を比較・検証する | 自動化が進むほど、クリエイティブの質が成果に影響しやすくなるため |
| コンバージョン計測の見直し | 購入、問い合わせ、予約、資料請求など、目的に合った計測を設定する | AIの最適化精度を高めるため |
特に重要なのは、フィード、ランディングページ、クリエイティブ、コンバージョン計測の4つです。
AIは広告運用を効率化する強力な仕組みですが、判断材料となるデータが不十分であれば、十分な成果につながりにくくなります。広告主は、AIに任せる前に、AIが正しく判断できる環境を整える必要があります。
特に重要なのは、フィード、ランディングページ、クリエイティブ、コンバージョン計測の4つです。
AIは広告運用を効率化する強力な仕組みですが、判断材料となるデータが不十分であれば、十分な成果につながりにくくなります。広告主は、AIに任せる前に、AIが正しく判断できる環境を整える必要があります。
まとめ:AI時代の広告運用は「任せる」だけでなく「整える」ことが重要
AI Max for Shopping、旅行向け検索キャンペーン、YouTube Creator Partnershipsの発表は、Google広告がさらにAI主導の運用へ進んでいることを示しています。
ユーザーの検索行動は、単純なキーワード検索から、目的や悩みを含んだ会話型の検索へと変化しています。それに伴い、広告にも検索意図を理解し、適切な広告文、ランディングページ、広告フォーマットを選択する力が求められるようになっています。
ただし、AIに任せれば自動的に成果が出るわけではありません。
むしろ重要になるのは、AIが正しく判断できるように、商品データ、フィード、ランディングページ、ブランドメッセージ、クリエイティブ、コンバージョン計測を整えることです。
これからの広告運用では、細かな手動調整だけでなく、AIに渡す情報の質を高め、成果を継続的に検証する設計力がますます重要になるでしょう。
ISSUNでは、Google広告の最新動向を踏まえながら、企業の目的や商材に合わせた広告運用、クリエイティブ改善、データ活用を支援しています。
AI時代の広告運用において成果を高めるためには、単に新機能を導入するだけでなく、自社のデータや広告設計を見直すことが重要です。







