「GM社、フェイスブック広告撤退」の実態(やってはいけない事例) | 株式会社ISSUN(イッスン)

「GM社、フェイスブック広告撤退」の実態(やってはいけない事例)

目次

「GM、facebook広告 撤退」の実態(やってはいけない事例)

■広告に効果が無かったのでは無く「使い方を間違えた」

昨日、GM(General Motors)社が、フェイスブック広告撤退を宣言しました。「成果が出なかった」とされていますが、フェイスブック広告の効果が悪かったのでは無く、どちらかというと「使い方と目的がまちがっていた」ような気がします。昨日もある企業様と「大きな企業でも、ソーシャル広告の使い方が理解できてないんだね。」とご訪問先で話題にのぼったので、少し記事にしてみます。

GM社のフェイスブックページの宣言


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参考:ロイター:米GMがフェイスブック広告を停止へ

参考:GM Says Facebook Ads Don’t Pay Off

# 18億ドルというのは、GMが米国内に投下した広告費のようでした。また、18億ドルの換算も間違っておりました。訂正をしお詫び申し上げます。facebookにてご指摘をいただきました皆様、ありがとうございました。2012/05/17 17:30

 GMはフェイスブック上に広告を出すために約4000万ドル(約32億円)支払った。その中でも約1000万ドル(約8億円)はフェイスブック広告の金額で、残りはコンテンツや代理店、日々のフェイスブックページのメンテナンスに掛かったコストだという。

GM spends about $40 million on its Facebook presence. About $10 million of that is paid to Facebook for advertising, the rest covers content created for the site, agencies that manage the content and daily maintenance of GM’s pages, people familiar with the figures said.

ソース:The Wall Street Journal Online

■広告の成果は「収益」であるべきはず

すでにロイターから、焦点:フェイスブック広告効果は未知数、GM掲載停止の影響軽微か

という報道もありましたが、一方では、フェイスブック広告をかしこく使って、収益に結びつけている国内のクライアントさんだっています。とはいえ、ソーシャルネットワーク上の広告ですから、マス広告のような一方的なスタンスではなく、フェイスブックユーザと同じ、市民として共存する、というスタンスで運用することが成功のカギだと考えています。

以前、GM(General Motors)社のフェイスブックページChevroletBuick,GMC,Cadillac などのGM関係ページをフェイスブック広告の研究対象として調査したことがあるのですが、外部から見える範囲では、「交流しない」「ゴールがない」「方向性が見えない」と、フェイスブック広告を使うには難しいだろうな、と感じたフェイスブックページのうちの一つです。

■外部URLへのフェイスブック広告は、かなり慎重に。

おそらく、GM社関連のフェイスブックページのファン数から考えて、上記の広告だけで8億円も使い切ったとは思えないので、自社サイトなどのフェイスブックページ以外にもフェイスブック広告を使われていたものと思われます。

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 確かにフェイスブック広告では「外部URL」というフェイスブックページ以外にリンクさせることも可能ですが、よほどのケースを除いては、フェイスブック広告では「外部URL」の使用はまだ控えた方がよい、というのが一般的ではないでしょうか。adwordsをやっているほうがまだ即効性もボリュームも出ます。

■ファン数でもリーチ数でもない。フェイスブックページの指標。

また、ファン数やリーチ数を指標にすべき、という意見も聞きますが、これも間違いだと思います。特に、GMのフェイスブックページでは、完全にターゲット層を間違えてしまったようです。ペルシャ語が母国語となるイラン共和国のユーザに、英語の記事を見せても、交流は生まれないので、クチコミも発生しません。


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うちにも「MIYAMATSU.NETさんみたいに、いいね!の数を増やしたいのですが・・・」とお話をいただくことがありますが、「これは広告の機能を検証するために繰り返したテストの結果なので、おすすめはしません。これには失敗の要素もあります。例えば、ユーザとページの言語は統一すべきです。むしろ、そういう使い方では無く・・・」と、適正なファン数を算出して、事業にとって収益が得られる、正しい使い方をお伝えしています。

あくまでMIYAMATSU.NETのファン数は、世界各都市でのフェイスブック広告のテスト結果も含まれるので、ファン数が成果だとは考えていませんし、今までにも、ファンの数を「何万名達成しました!」と、フェイスブックページ上で語ったことは一度もありません。

「『いいね!』の数より『ありがとう』を大切に。」2011/05/13 東京ビックサイトでの講演

■言語は厳密に統一すべき

フェイスブック広告では、国の指定以外に、言語の設定もできます。例えば、日本国内に住んでいても、日本語がわからない、というフェイスブックユーザは多く居ます。言語を区別し、もし英語ユーザにも日本語でリーチしたいなら、別の広告キャンペーンを作成して予算をわけるべきでしょう。


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■フェイスブック広告の上手い使い方とは。

ただ、事業に収益をもたらす「フェイスブック広告」の上手な使い方はあります。その一部は、上記のリンクで公開していますが、意外に地道です。一時的なキャンペーンなど、ピンポイント的に使うのでは無く、継続して使ってこそ成果があがるのがフェイスブック広告の上手い使い方です。ファン数やリーチ数が増えたところで、収益に結びつかなければ意味がありませんよね。

今週末、フェイスブックの上場がニュースとなり、フェイスブック広告にトライされる方も多くなると思いますが、ターゲットの絞り込みはできるだけ細かく、分けた方がよいです。また、言語についても、翻訳機能が実用的になるまでは、フェイスブックページで使う言語のユーザのみに限定したほうが良いです。

関連記事:フェイスブック広告の開始がわかりやすく! 

※このあたりはまた、出版予定の書籍や、連載などでご紹介できればと思います。

■しかし、32億円とは・・・

しかし、GM社は、合計32億円のフェイスブック広告(代理店への運用費・製作等込み)、実質広告費が8億円ということですから、1年半もかけて、32億円も使ってからでないと、広告効果の成否を判断しない、というのも、うらやましいお話だな、と思いました。

■ナショナル・クライアントにも屈さないつもり? 追記:2012/05/17 

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facebookのIPO直前のタイミングで、なぜGMが、何がおこったのか・・・

本記事を投稿後、あるご担当者と話をしていると「そんな実態のことを言ってたの?」という言葉をいただき、少し端折りすぎたかな、とも思いましたので、追記しておきます。

ここ数年間、GM社のソーシャルプロモーションは、海外のソーシャル系のニュースなどではかなり取り上げられてきました。この点は、今までfacebokなどでもご紹介したこともあるので、本記事では割愛していたのですが、新しく読まれる方にも伝わるように、今までのGMに関わる印象深かった記事を掲載しておきます。どんな風にGM社がソーシャルメディア上で広告展開をしてきたのか、ソーシャルとどう関わってきたのか、どんな人が元責任者だったのか、最終的に、なぜこのような報道の手法にいたったのか。

IPO直前のこの時期、フェイスブック関係者は言論規制に入っていると思います。多弁は無用といったところもありますので、個人的には、こうしたナショナルクライアントにも屈しない、フェイスブックの芯の強さがホンモノであることを期待しています。と付け加えておきます。

・facebookを活用した大学生向けディスカウントキャンペーン
http://www.bigprize.com/files/gmcp_bpg_case_study.pdf

・ facebookの公式ガイドにベストプラクティスとして掲載
http://ads.ak.facebook.com/ads/FacebookAds/Best_Practice_Guide_042811_10.pdf

・元GMのソーシャルメディアDir:Christopher Barger氏
フォードvsGMのソーシャルメディアマーケティング
ソーシャルメディアレッスン
バーガー氏のGM社からの離脱

・GMがソーシャルメディアの運用で抱えた悩み
http://www.kullin.net/2012/01/your-facebook-page-is-a-litmus-test-of-your-brands-health/ 

・GMは、facebookの新規株割り当てに不満?
http://finance.yahoo.com/blogs/breakout/gm-unfriends-facebook-ahead-ipo-went-wrong-151627212.html

株式会社ISSUN スタッフ 

 

 


この記事を書いた人
株式会社ISSUN(イッスン) 代表取締役 宮松利博
株式会社ISSUN(イッスン) 代表取締役 宮松利博
RIZAPグループ社創業時の商品開発とマーケティングを手がけ3年で年商20億円に成長、上場と同時に保有株を売却し、Webコンサルティング株式会社ISSUNを設立。日本イーコマース学会を立ち上げ、産官学連携にも取り組む。 【Facebook】【Instagram】【YouTube】【twitter】
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